IKIMONがベンチマークとすべき、また連携すべき世界の主要なプラットフォーム事例です。
1. iNaturalist(アイ・ナチュラリスト)
概要
世界最大かつ最も成功している生物観察SNS。 カリフォルニア科学アカデミーとナショナルジオグラフィック協会の共同イニシアティブとして運営されています。特徴
- AI同定技術: 写真をアップすると「これですか?」と候補を出してくれるAI(Computer Vision)の精度が極めて高い。これが初心者のハードルを劇的に下げました。
- コミュニティ同定: AIが間違っていても、世界中の専門家やマニアが正しい種名を教えてくれる(Research Gradeデータへの昇格プロセス)。
- オープンデータ: 研究グレードのデータはGBIF(地球規模生物多様性情報機構)に送信され、数千の科学論文で利用されています。
IKIMONにとっての示唆
IKIMONは、「iNaturalistの優れた機能性」を参考にしつつ、「日本独自の文化・地域コミュニティ」に深く根ざしたプラットフォームを目指しています。2. eBird(イーバード)
概要
コーネル大学野鳥研究所が運営する、野鳥特化型のプラットフォーム。 世界中のバードウォッチャーが利用しており、科学的な貢献度は随一です。特徴
- チェックリスト方式: 「何を見たか」だけでなく「何を見なかったか(その場所にいたのに記録しなかった種)」も含めた、統計的に厳密なデータ収集をユーザーに促します。
- ゲーミフィケーション: 「生涯観察種数」や「年間ランキング」などが充実しており、マニアの収集欲を刺激します。
3. バイオーム (Biome)
概要
京都大学発のベンチャー企業による、日本国内最大級のいきものコレクションアプリ。特徴
- 「いきものGO」的アプローチ: ポケモンGOのように、レア度に応じたポイント付与や、クエスト機能(例:「春の七草を探せ」)など、ゲーム性が非常に強い。
- 独自AI: 国内の生物画像に特化したAIを開発。
IKIMONとの共通点と違い
バイオームが持つ「ゲーム性・エンターテインメント性」のアプローチは素晴らしく、IKIMONも同様にゲーミフィケーションを積極的に取り入れます。 楽しくなければ続かない。これは真理です。では、何が違うのか?
IKIMONの最大の特徴は、「自然共生サイト(OECM)申請との連動」です。
IKIMONが目指す世界
バイオームやiNaturalistが「個人の発見の楽しさ」を追求しているのに対し、 IKIMONは「その発見が、公式な保全活動につながる」ことを重視しています。
日本全体を自然共生サイトに
私たちには壮大な夢があります。
日本全国が自然共生サイトになる散歩中に撮った1枚が、企業や自治体のOECM申請データになる。 あなたの発見が、その土地を「公式に保全すべき場所」として認定させる力になる。
ゲームのようにバッジを集めながら、いつの間にか日本の自然を守っている。 楽しさと社会貢献が、自然につながる仕組み。
それが、IKIMONの目指す「競合との違い」です。
参考文献
- iNaturalist. https://www.inaturalist.org/
- eBird. https://ebird.org/
- Biome. https://biome.co.jp/