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Well-being

鳥類観察とメンタルヘルス (Bird Watching and Mental Health)

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概要

「バードウォッチング(鳥類観察)」は、数ある自然観察アクティビティの中でも、メンタルヘルスへの好影響を示す科学的エビデンスが特に豊富な分野です。 鳥のさえずりを聞くことや、多様な鳥の種類を目にすることが、うつ病のリスク低減、不安の解消、幸福感の向上に直接的に寄与するという研究結果が、英国やドイツなどの大規模調査によって示されています。

理論的背景

「多感覚」の刺激

鳥の観察は視覚だけでなく「聴覚(さえずり)」を強く刺激します。 進化心理学的に、鳥のさえずりは「周囲に捕食者などの危険がいない安全な状態」を示すシグナルとして人類に認識されてきたため、本能的なリラックス効果を生むという説があります。

詳細解説

英国エクセター大学の研究 (2017)

  • 対象: 270人以上の住民。
  • 結果:
- 午後に鳥を見かけた人ほど、うつ、不安、ストレスのレベルが有意に低かった。 - 人種、年齢、所得に関わらず、家の周りの「鳥の種類の多さ」が精神的健康と強く相関していた。 - 実際に観察できたかどうかだけでなく、「近所に鳥がたくさんいる」という認識自体も重要。

ドイツ・キール大学の研究 (2020)

  • 対象: 欧州全域の26,000人のデータ分析。
  • 結果:
- 「鳥種の多様性」が10%増えることは、収入が10%増えるのと同等の生活満足度(幸福度)の向上をもたらすと試算された。 - 自然環境の中でも、特に「鳥」の多様性が幸福度との相関が最も強かった。

批判的検討

因果関係の複雑さ

「鳥が多い環境=緑豊かで環境が良い場所」であり、住人の所得が高い傾向にあるため、単に環境要因や経済要因が効いているのではないかという指摘は常にあります。 しかし、多くの研究では社会経済的要因(所得、教育レベルなど)を調整(統計的に排除)した上でも、なお鳥との接触に独立したプラス効果があることが確認されています。

IKIMONによる貢献

IKIMONは、身近な鳥類の観察を通じて、ユーザーのウェルビーイング向上を支援することができます。
  • ユーザー体験: 身近なスズメやハトだけでなく、「こんな綺麗な鳥が近くにいた」という発見は、日々の生活に彩りを与えます。
  • 機能開発: 「鳴き声(サウンド)」の投稿・再生機能や、AIによる鳴き声同定機能は、視覚だけでなく聴覚を通じたリラックス効果を提供します。
  • 社会的処方: 将来的には、医師が薬の代わりに自然との接触を推奨する「社会的処方(Social Prescribing)」のツールとして、IKIMONが活用されることを目指しています。

参考文献

  • Cox, D. T. C., et al. (2017). Doses of Neighborhood Nature: The Benefits for Mental Health of Living with Nature. BioScience.
  • Methorst, J., et al. (2021). The importance of species diversity for human well-being in Europe. Ecological Economics.

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