
昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)
2022年12月、カナダのモントリオールで開催されたCOP15で、歴史的な合意がなされました。 それが「昆明・モントリオール生物多様性枠組(Kunming-Montreal Global Biodiversity Framework: GBF)」です。
これは、気候変動における「パリ協定」に匹敵する、生物多様性分野での世界共通の目標です。
2030年までの23のターゲット
GBFは、2050年までに「自然と共生する世界」を実現するために、2030年までに達成すべき23の具体的なターゲットを定めています。 その中でも特に重要なのが「30by30」です。
ターゲット3:30by30(サーティ・バイ・サーティ)
「2030年までに、陸と海の少なくとも30%を保全する」これまで、保護区として守られてきたエリアは陸域で約17%、海域で約8%に過ぎませんでした。 これを大幅に拡大し、地球の3分の1を守ろうという野心的な目標です。
しかし、単に立ち入り禁止の保護区を増やすだけでは達成できません。 そこで注目されているのがOECM(Other Effective area-based Conservation Measures)です。 これは「保護区ではないが、生物多様性の保全に効果的に貢献している地域」のこと。 例えば、適切に管理された里山、企業の所有する森、神社の鎮守の森などが該当します。
ターゲット15:ビジネスへの影響
「大企業及び金融機関に対し、生物多様性に係るリスク、依存及び影響を評価し、開示するための措置を講じる」これが、ビジネス界に激震を走らせました。 もはや「知らなかった」では済まされません。企業は、自社のサプライチェーン全体で、自然にどのような影響を与えているかを「見える化」する義務を負いつつあるのです。
世界は「ネット・ゼロ」から「ネイチャー・ポジティブ」へ
これまでの環境対策は「マイナスを減らす(ネット・ゼロ)」が中心でした。 しかし、GBFが目指すのは、「マイナスを止めて、プラスに転じる(ネイチャー・ポジティブ)」世界です。
失われた森を再生し、汚れた川を浄化し、絶滅危惧種を呼び戻す。 それは、かつての美しい地球を取り戻すだけでなく、私たち人類の生存基盤を守るための、待ったなしの挑戦なのです。
IKIMONが目指す世界
世界が「ネイチャー・ポジティブ」へ舵を切る今、私たちIKIMONは「誰もが参加できる生物多様性」を実現しようとしています。
散歩中に見つけた花を撮る。名前を誰かに教えてもらう。いいねを押す。 そんな何気ない行動が、30by30達成のための貴重なデータになり、OECMの発見につながる。
専門家だけでは追いつかない規模のモニタリングを、市民の力で実現する。 それがIKIMONの目指す世界です。